印度學佛教學研究
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シャーキャブッディにおける語の対象と分別知の形象
木村 和樹
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2024 年 72 巻 3 号 p. 1081-1084

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抄録

 本稿は,ŚākyabuddhiのPramāṇavārttikaṭīkāにおける,語の対象と分別知の形象との関係を明らかにすることを目的とする.仏教論理学・認識論の言語理論であるアポーハ論では,他者の排除 anyāpoha が語の対象とされる.Śākyabuddhiは,Pra­mā­ṇavārttika 1章のアポーハ・セクションに対する注釈で,他者の排除を3つに分類したことで知られている.この分類において,彼は分別知の顕現 vikalpa­bu­ddhi­pratibhāsa を語の対象 śabdārtha に設定した.しかし,Pramāṇavārttika 3章のアポーハ・セクションに対する注釈では,形象 ākāra(あるいは顕現 pratibhāsa,影像 pratibimba)が語の対象であることを否定している.顕現は自己認識(sva-saṃ-√vid)されるときは実在物と見なされるからである.Dharmakīrtiとは対照的に,ここでŚākyabuddhiは顕現の実在性を問題にしている.さらに,外界実在物や実在論者が想定する実在する共通性を潜在的な候補として検討した後,それらをすべて否定し,究極的な意味では paramārthatas 語の対象は何もないと明言する.

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© 2024 日本印度学仏教学会
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