抄録
目的:高齢者に対する青年の意識は時代と共に変化するのであろうか。方法と対象:介護保険導入前後の20歳代の意識調査を行った。1977年実施の調査に対応した現代の青年の意識調査を実施し,対比したので,その結果を報告する。1977年のアンケート調査回答者は20-27歳の男女23名,2012年,現代の青年意識調査として,20-25歳の青年26名,内(男性16名,女性10名)の意識を1977年と同質問でアンケート調査した。1977年は質問紙調査であり,2012年のアンケート調査には,インターネットのグーグルアンケートを用い,1977年の質問と同内容で実施した。結果:1977年と2012年の回答を分析した結果,特別養護老人ホームの認識(p<0.01),同利用に関する意識(p<0.01),老人が社会問題になるか(p<0.05),について示したとおり有意な違いが見られた。介護保険以前の青年の意識は家族で老親を扶養する意識が高く,特別養護老人ホームの認知が少なく,利用にも積極的ではなく,そこから,老人が社会問題になるとの意識が高かった。考察:介護保険下では,要介護度が高く寝たきりになるほど,施設はサービス報酬を多く受給でき,入所しやすい。施設介護の可能性を高める介護度の重度化が市民にとっても望ましいのである。社会保障経費削減を可能にし,高齢者の増加が社会問題になる要素を減らすために下記の2点の法整備が介護保険制度について必要と考察する。(1).家族介護者への賃金支給の選択肢を設ける。(ドイツの現金支給:ドイツの介護保険のように在宅で老親を介護すれば賃金が出る。日本も同様にすれば,施設介護希望も生活保護受給も軽減できる可能性が生まれる。) (2).施設において介護度が向上(介護が少なくなる:例,要介護5が要介護3に変化)したら,施設の収入を厚くする。