2015 年 2015 巻 2 号 p. 216-221
障害者の在宅生活の継続に身辺処理動作(セルフケア)の機能維持は重要である。今回,T市の肢体不自由児への機能訓練事業を担当する機会を得た。そこでこの事業を10年余利用している脳性まひ4事例の経過を見直した。利用目的は,時間の経過と共に変わり,生活は学校卒業という大きな転換期をむかえていた。家族と本人は在宅生活の継続に不安を感じている事が判明した。家族が機能維持を望む背景に,脳性まひの障害特性から身辺処理動作の機能維持の困難さや家族介助の負担が示された。しかし,4事例とも医療機関の受診や専門職種の関与が少なかった。家族不安を具体的なニードとして,相談支援事業へと結びつける必要性が示唆された。