抄録
私は国際バイオフィリアリハビリテーション学会の発展を支援してきた。その成果もあり,この学会活動の重要性は着実に増大している。 最近,学会活動の中心となっているジャーナルは,2011年から発行され,8巻に及んでいる。以下は前号祝辞で述べたが,大変重要な内容であり,再掲する。
「医療とリハビリテーション関係者は,しばしば健康な手で,麻痺や機能損傷と診断された腕を動かしている患者の姿を見ている。このような運動は,運動により有益な影響を得ようとする他に,理学療法士による一種の他動運動に等しい。しかしながら,足の重さ自体や負荷の大きさから,患者の健康な手を利用して,麻痺した脚を動かすことはどちらかと言うと不可能である。 患者が患者自身の麻痺した脚を動かすことが可能になったら,どのような影響があるかとの疑問が生まれる。この疑問が,リハビリテーション医療における医学と工学の共同研究の出発点であった。日本で麻痺した脚を健全な足の運動で,自分で動かす事の出来る単純な装置が開発された。それ以来,私は根本的な生理学のメカニズムにおける有益な影響を探るべくこの研究に参加している。 これまでの研究では,このような自律訓練の効果は,皮層血流の拡張による,大脳機能の活性化に見られている。 麻痺した患者の他動運動によるリハビリテーションが何年もの間行われてきたが,障害が基本的に変化していない状態で持続している。 現状のリハビリテーション医学の置かれている状態を改善すると共に患者の障害を改善するために,我々は分子遺伝学から得られた診断結果あるいは医学的判断が寄与できたことを示してきた。我々はそれらの結果をリハビリテーションにおいて医工学の共同研究の努力によって達成したのである。」
私は,今回日本の研究者によって日本学会のジャーナルに発表された多くの論文を,国際的に読まれるべき論文であるかを査読した。 私はこれらの論文が人類の福祉向上に寄与すると確信している。