抄録
人体表面の3次元形状の変異(種間差,人種差,世代差,性差,個人差など)を扱うのに,人体形状を発生学・解剖学的な対応に基づいてモデル化し,そのかたちの違いを空間の歪関数として記述する方法がある.これは,20世紀初頭に提案された方法で,20世紀末になり数学的に具現化され盛んに利用されるようになった.ここでは,そのひとつであるFree Form Deformation法を用いて人体形状の変異を可視化するとともに,その変異の特徴を分布図として表現する技術を概説する.また,その技術を人体形状にフィットする製品の設計に応用した研究を紹介し,それをベースにした持続的な人体形状データ蓄積への展望を述べる.