抄録
我が国における情報通信行政機関の在り方について客観的に考察するには、電波監理委員会(昭和25~27年)が適切な素材であろうと考え、調査研究を進めてきたところ、同委員会は、行政組織とは別に、運営手続論として透明性等で注目すべき点があるのではないかと考えるに至った。そして、同委員会の行政運営の透明性とその実績、特に規則制定のような準立法的機能や異議申立ての審査のような準司法的機能における透明性について紹介し、聴聞といった同委員会の取組が、情報通信分野における政策の透明性を確保する上で、当時としてみれば大きく注目すべきところがあったことを論じた。同委員会の聴聞手続は、その後の郵政省・総務省における電波監理審議会においても受け継がれている。行政手続法や行政情報公開法の整備がなされる半世紀も前の取組として、このような同委員会の意義・教訓を評価する。