抄録
本稿は日本における第三世代(3G)携帯電話の普及要因を特定することが目的である。特に、電子支払を可能としたFeliCa やデータ・ローミング・サービス、音楽ダウンロードなどの付加価値サービスに焦点を当て、携帯電話市場の90%を占める主要3社のパネルデータを用いて実証した。Arellano-Bond による動学パネル推定を用い、電気通信分野でのサービスの成長要因として挙げられるネットワーク効果、あるいは内生性の問題に対処した。推計の結果、iPhone 3G の発売、FeliCa、データ・ローミング、音楽ダウンロード、そして定額制料金の開始が3G 携帯の普及に貢献したとの結果を得た。付加価値サービスの重要性を実証した本稿の結果は、次世代の携帯電話市場だけでなく、諸外国の3G ネットワークの拡大にも貢献できるものである。