抄録
放電のダイナミツク特性曲線は、時と共に變化する所の現象の形によつて變る事は當然であるが、又た放電間隙其のものに固有に定まらずして、全電路の性質によつて變化するものである。
之を證するために炭素弧光を60サイクル交流を以て點じた時の弧光ヒステリシス曲線をブラウン管を以て觀察した。
先づ弧光の長さを變じた時の結果から、弧光ヒステリシスが其の起原について、電極及其の附近に於けるイオン解離作用による部分と、弧焔部のエネルギー保持による部分とに分ち考へられろことを示す。
次に回路の定數な無誘導抵抗とした塲合及び自己誘導可アクタンスとした塲合のヒステリシス曲線の變形な示し、尚ほ電源の電壓實效値、弧光電流の實效値及び弧光長を何れも一定として、回路定數をInductiveからnon inductiveまで變じた時の曲線の變形によつて、その影響を最も明瞭に現はして居る。
交流弧光のsteadying impedanceとしてohmic resistanceを用ふれば能率低く、pure induc-tanceとすれば力率な惡くする事柄の外に、弧光放電の模様も亦弧光長及び直列インピーダンスの性質によつて變化するのであるから、吾人が弧光な利用する目的によつて長さ及び回路の性質等を如何に撰定すべきかに異なるべき理である。