1919年に余が遞信省電氣試驗所第四部の囑托を命ぜられて以來、費用も勞力も多くを要しないで可成正確な波長計を製作する事に從事したこのであつた。波長計更正法には種々あるが結局米國標準局が示した方法に大體依る事にした。それはinductanceを計算がら出し、capacityを測定から出し、兩者の結合から波長を算出するにある。波長計は約200 metersから22,000 meters-の範圍を蓋ふ様に作られたのである。
波長計の基礎的要素は、Single turn square coilと米國標準局標準可變空氣蓄電器とからなつて居ろ。低周波ではsquare coilの計算値は7410cm.で、測定値の7412cm.とよく一致して居る。然し周波數の變化によるinductanceの値の變化が可成大きく、106 cyclesの時のinductance値は7080cm.であつた。而して後者を波長計算には使用したのである。Square coilのself-capacityも考慮に入れたが、殆と無視し得るものとして、之を無視したのであろ。標準蓄電器のcapacityは總ての周波數に於て一定値であると云はれて居るのな、そのまゝ波長計の一つの要素としたのであろ。二者によつて基礎回路を作りその波長の範圍は、230mから、438m迄である。
必要な波長の廣い範圍を蓋ふ爲に大きいinductance値を右する八個の、標準inductance coilを作つた。
三極眞空球のplate回路の電流は、夥しい高調波を含んで居る事な知つて、波長計の更正に之を利用したのである。礦石檢波器によて二百番位の高調波を捕へ得たのである。
三極眞空球發振器を或る波長で働かしめ、基本調波から漸々と出來るだけ高い高調波迄求めて行く、而して高い高調波の波長が、基礎回路の波長の範圍に入つたならば、之によつてその高調波の波長を更正する。然る時は、基本波長は該高調波の波長とその番號との積によつて求められる。幾つかの高調波による基本波長の平均値を求め、それから各高調波の波長を求めたのでめる。この様にして標準波長計の更正をなし遂げたのである。
海軍省に特別高周波發電機によつて直接に更正された波長計がある、吾々の波長計とそれを比較した所、兩者よく一致しれのであつた。
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