電氣學會雜誌
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纎維質電氣絶縁材料の電氣抵抗に對する濕度の影響に就て
赤平 武雄
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1923 年 43 巻 421 号 p. 719-746

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抄録
纎維質絶縁材料の絶縁抵抗に對する濕度の影響を闡明する目的を以て研究したのであるが實驗中の誤差を出來る丈け少くする爲め濕度以外の條件例へば温度、使用電壓等の變化による抵抗の變化をも明かにしたのである。又抵抗を測定する爲めに電壓を加へると蓄電作用が起ること、又材料を通る電流の爲めに材料の温度が上昇して乾燥すること及び吸收水分の分布に變化が起る事等を實驗によつて示してある。依つて與へられた初めの状態に於ける抵抗を知るには状態が未だ變化して居らぬ初めの瞬間に於ける漏洩電流から抵抗を求めなければならぬと述べてあろ。又纎維質材料に於ては吸濕履歴現象があつて濕度な周期的に變化せしめて抵抗を測定して見ろと抵抗と温度とはヒステレシス曲線を示すにを述べてある。それで濕度を考へに取る塲合には其の以前からの混度の變化の歴史をも考へに入れればてばならぬが然し實用上に於てに或る濕度に對する絶縁抵抗としては濕度と抵抗とのヒステレシス曲線から得た平均絶線抵抗を以て表にすのが便利であることを述べてある。又斯の如き平均抵抗Rと濕度んとの間の關係を次の如き近似式で表はしてある。log10R=a-bh/1-ch2こゝでa,b及cびは恒數でaは濕度が零の時の材料自身の抵抗による恒數でb及cは即ち濕度の影響を表にす恒數である。此等の恒數を十一種類の試料に就いて實驗の結果から求めてある。それによると此等の恒數は材料が植物性、動物性又に鑛物性なるか或ひは處理材料で加工せるものなるかによつて其の大小は判然した區別があることを示してある。最後に此の近似式の適用し得る材料に就いては三つの異ろ濕度に對して平均抵抗を測定すれば此等の恒數を定められるから、其の材料の濕魚に對る特性を判斷することが出來ろと述べてある。
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