電氣學會雜誌
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絶縁物の表面に於ける放電現象に就いて第二報
望月 重雄
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1925 年 45 巻 438 号 p. 83-89

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抄録
空氣及び變壓器油内にある固體絶縁物(寫眞用乾板)の表面に於ける火花放電現象に就いて實驗し、その間に著しき相違ある事を認めた。
(1) 硝子の片側にのみ電極を並置せる場合には、空氣中にありては硝子の面に沿ふて放電するも、油中にありてはその全通路を通じて必ずしも硝子の面に沿ふて起らず、時々硝子面より離れたる油内に起る。
(2) 兩電極の間に固體絶縁物を挾める場合には、空氣中にありては正負とも絶縁物の表面に沿ふて、互に相牽制しっゝ進むも、變壓器油内にありては、正極の側に於てのみ硝子の面に沿ふて起り、負極の側にありては硝子の面を遠く離れたる油内に起る。
油内の沿面放電現象を空氣のそれと此較し、かくの如き著しき相違を認むるは、恐らくは油中に存在するfree electronの數少き事と、油が均質體ならざる事とによるならんと推測される。
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