抄録
本編は大都市に於ける電力配給上極めて重要なる電氣工作物たる地中送電線路の經濟的設計に關して研究せる所を秩序的に説述せるものにして六章より成る。第一章に於ては地中電纜の太さ、重量並びに單價を概定すべき方法を示し之によりて本論に講究せんとする各種電纜の太さ、重量並びに單價を求めたり。第二章に於てはダクトの構造、布設方法並びに之が工事費算出の根據を示し之によりて種々の内經のダクト管に對して二孔乃至二十五孔の場合のダクト工事費を算定したり。第三章に於ては電纜接續用マンホールの寸法を求むべき徑路を明かにし以て種々の場合に應ずるマンホールの寸法を定めたる後之が工事費算出曲線を與へて各種の場合に於けるマンホール工事費を概定したり。第四章に於てはダクト内に電纜を引入れ且之をマンホール内にて接續するに要する費用即ち電纜架線工事費の標準を示し以て種々の電纜に對する架線工事費の値を定めたり。第五章に於ては地中電纜の安全電流を最近の公式によりて算出し之によりて地中電纜の送電容量を算出したり。最後に第六章に於ては上記五章によりて得たる各の資本を基礎として地中送電線路の經濟的設計をなすに必要なる計算事項を明示し且經濟的ダクト孔數經濟的送電々壓及び經濟的導體の太さが如何なる關係にあるかを講究し以て本論窮極の眞相を明かにしたり。