抄録
高調波に同調した空中線より發射する電波の有様を實驗的に研究した結果の報告である。第一には、接地しない空中線を基本波及び第二、第三、第四高調波で勵磁した場合の結果を擧げ、第二には接地空中線を第三、第五、第七、第九高調波で勵磁した各場合の實驗結果を述べてある。高調波で振動する垂直空中線より發射される電波は所謂空間電波が主である事、且つ高い高調波になるほど空間電波がいくつかに分れ、從つて最大發射を與へる方向も數個存する事を示してある。第三には、第二高調波で振動する垂直空中線より發射する空間電波に指向性を附與するために、同じく第二高調波で振動する反射器を使用する事が試みられてある。一本の反射器を使用した場合または三本を用ひ三角型に排列した場合等を實驗的に比較研究し、反射器の効果を調べてある。最後に數本のwave directorを適當に排列すれば、一層好結果が得られる事を述べてある。