電氣學會雜誌
Online ISSN : 2187-6797
Print ISSN : 0020-2878
ISSN-L : 0020-2878
ソレノイダルコイルの高次固有振動に關する研究
山本 勇
著者情報
ジャーナル フリー

1927 年 47 巻 471 号 p. 1101-1129

詳細
抄録

有限長のソレノイダルコイルの高次固有振動の模様は理論的に取扱ふ事は殆んど不可能であるから之れを實験的に研究した。
實験的に用ひたコイルはTable(1)に示す如き十四種で、すべて八角形のエボナイト枠の周圍に輩相の密接捲きを施したものである。高次固有振動波長の測定はコイルの兩端開放の揚合と一端接地の場合とに對して行つたが、何れの場合に於ても基本固有波長λ1とm番目の高次固有波長λmとの比はCurve(2), Curve(3)に示す知く實用上、(m-1)に關する直線式にて表はさるることを見出した。即ちλ1/λω=1+a(m-1)なる關係式にて表はされ、而してαなる係數はCurve(4)に示す如くcoilの形態比h/2rの函數として表はされ得ることを認めた。而して此等の實験結果はコイルの長さに沿ふての波動傳播速度の考察から大體説明を試みた。
又コイルが種々の固有振動波長に同調し居る際に、コイルの長さに沿ふて生ずる電位定在波の大體の模様を、極めて簡單なる方法を以つて觀測し其腹や節の位置がCurve(5), Curve(6)に示す如く、無限長の場合の正規の位置より甚だしく異なることを認めた、次にLenzの理論的計算と筆者の實験の結果とを比較して、兩者の間に大なる差異ある事を確めた。
尚ほ遮蔽導線及び遮蔽圓筒のために固有振動波長の増加する模様を觀察し、遮蔽導體の長さや位置によりて、各固有振動波長に對する影響は夫々の固有波の次数によりて異なる事實を確めCurve(7),(8),(9),とCurve(10),(11),(12),(13),(14),(15),(16),(17),(18),(19),(20)に實験結果を示してある。

著者関連情報
© 電気学会
前の記事 次の記事
feedback
Top