抄録
輻射熱は煖房上重要なる部分を占め,室氣の温度上昇と同様の効果を有して居る。本研究は其の煖房効果を身體の被服に蔽はれたる部分及露出せる皮膚の部分に就いて,空氣の等價的温度上昇を以て表はさんとするものであつて,前者は輻射熱R(watt/cm2)と被服の表面の熱抵抗r'との積を以て表はされる事を導き,r'は一般の被服に對し大略1,000に等しき事を見出し,又後者は240R0.7にて表はされる事を實驗的に求めた。尚身體に對する平均煖房効果をも考へ一般的に輻射熱の強さを直に空氣の等價的温度上昇を以て表はし得る方法を決定したものである。