電氣學會雜誌
Online ISSN : 2187-6797
Print ISSN : 0020-2878
ISSN-L : 0020-2878
二三の礬土並に礬土珪酸鹽礦物の電氣傳導度の温度による變化に就いて
清水 定吉
著者情報
ジャーナル フリー

1933 年 53 巻 539 号 p. 465-474

詳細
抄録
含水礬土珪酸鹽礦物,一水化礬土礦,硫酸鹽礦物等の含水礦物の電氣傳導度の温度による變化を檢べ,之等の結果を熱分析の結果と比較對照して見た。かくして電氣傳導度の値は,熱分析並に熱天秤によりて見出されたる性質の著しく變化する温度,即ち100°C~200°C,450°Cより600°Cに相對應して著しく變化する。更に熱分析の研究に於ける1,000°C附近の發熱作用に相當して,電氣傳導度は900°Cより1,000°Cの範圍にて急激に減少する。而もその變化の大きさは,主要構成物中のAl2O3に對するSiO2の比に,大體比例する。
勝光山のディアスポールに見る如く,442°Cより620°Cに到る脱水温度の範圍内にては,電氣傳導度は刻々に變化し,また勝光山の明礬石の示す如く,有機物の放出する場合も電導度に影響する事を確めた。
かくして電氣傳導度の温度による變化の吟味は,熱天秤並にX線的研究と相俟つて内部機構にたち入る一つの有力なる方法なる事が結論し得る。
最後に450°C~650°C間にて脱水せる後のメタカホリンの状態を,電氣傳導度の測定結果から考へて見た。
著者関連情報
© 電気学会
前の記事 次の記事
feedback
Top