陰極線オッシログラフに於けるオッシログラムの撮影は,高度の眞空内で行ふが爲に,印畫紙の樣に揮發性物質を多量に含有するものを使用すれば,撮影を行ふに適當な眞空を得るに非常な手數を要する。
此の外印畫紙は一般にフィルム或は乾板と此較すると,感光度は極めて惡いが,或種の印畫紙を使用すれば,相當速い現象に對しても,充分明瞭なオッシログラムを得られる。
陰極線の感光作用は光線の夫と本質的に異るのみで無く,高度の眞空内では感光作用を妨害すると考へられるものが少なく,大氣中より感光度が増大する。
印畫紙を使用すれば排氣には多少手數を要するが,或種の印畫紙では同じ陰極電壓でフィルム或は乾板よりもむしろ鮮明なオッシログラムを得られ,撮影に要する費用を輕減することが出來る。
60kV以上の陰極電壓を使用すれば,0.5cm/μs位の時間變位速度で,輝點速度2cm/μs位でも,充分明瞭なオッシログラムを得られる。尚此の輝點速度は10cm/μs位にしても,撮影は可能であると確信して居る。
本文は數種の印畫紙に就いて實驗した結果中,實用し得るものに就いて記載したのである。
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