抄録
夜間の屋外のように輝度対比が大きく方向性の強い光によって顔面に強い陰影が生じ易い環境下でのカメラ画像は、顔の識別が不十分な場合が多い。しかし、モデリングとTV映像との関係、特に「人の識別性」との関係は十分に明らかにされていない。そこで、顔の識別において、良好なTV映像を得るための照明条件を明らかにすることにした。まず、Cuttleの研究に習い、ベクトル高度(α)を0, 30, 60, 90度、方位(φ)を0, 30, 60, 90, 120度、照明ベクトル·スカラー照度比を0、1.5、2.5、3.3、4.0になるような評価刺激124画像を作成し、評価刺激をCRTモニターおよび液晶モニター上にランダムに提示し、27名の被験者にその映像の印象を5段階評価させた。その結果を基に、F. Haegerの6面照度の概念を用いて照明条件の記述を試みた。その結果、「上下の水平面照度の差と平均球面照度の比」、「顔左右の鉛直面照度の差と半円筒面照度の比」を基に、評価結果を布置させたところ、顔の識別が可能な評価刺激とそうでない物とが十分区別できる位置関係に布置され、顔の良好な映像を得るための条件を、照度をパラメータとして記述する方法を明らかにした。