全人的医療
Online ISSN : 2434-687X
Print ISSN : 1341-7150
W.H.O.レクチャーシリーズ
病気にならない生活
―どういう食生活が健康長寿をもたらすか?―
渡邊 昌
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 17 巻 1 号 p. 63-74

詳細
抄録

食生活が健康にかかわっていることは古今東西,共通であり,否定する人はいないであろう.筆者は食事を多方面から研究し,玄米,菜食,腹八分目が腸を整え,健康長寿に最もよいと確信を持つようになった.玄米と具の多い味噌汁で必要な栄養素はすべて賄え,さらに抗酸化作用をもつ多くの機能性物質も摂れる.人間は肉体的には老化していくが,精神的には成熟し続けることが可能である.正食(マクロビオティック)は玄米主体の日本食であり,菜食主義者に近い食事である.人間の腸内細菌叢の組成は食事によって変化する.玄米食は多くの酪酸産生菌の増殖を促すものであり,健康な腸内環境の維持に役立っている.長寿者の研究から,望ましい菌は大便菌(フェカリバクテリウム)やビフィズス菌などであり,酢酸や酪酸産生菌であるとされる.これら菌を養うには食物繊維を摂ることが重要で,肉を減らし野菜を多く摂る,玄米を食べるということで達成できる.筆者はコメの機能性に着目してMedical Riceのコンセプトを広めている.低たんぱく玄米は玄米の機能成分は残しつつ腎不全の進行を抑える食材としてほぼ理想的といえる.

著者関連情報
© 2019 公益財団法人 国際全人医療研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top