2023 年 21 巻 1 号 p. 27-42
【目的】血中DHEA-Sが患者の主観的に感じる「生きる意味」と関連するかを検討した.
【方法】80名.30~49歳の女性を対象とした.線維筋痛症患者(fibromyalgia syndrome:以下FMS)(n=41),健常者(n=39).FMS群のDHEA-Sが100µg/dL未満をFMS低値群(F-L群:n=14),100µg/dL以上をFMS高値群(F-H群:n=27)とした.同様に健常群のDHEA-Sが100µg/dL未満を健常低値群(H-L群:n=7),100µg/dL以上を健常高値群(H-H群:n=32)とし,4群に分けて検討した.血中DHEA-S,血中コルチゾール,DHEA-S/コルチゾール比と,患者が同日に記入したSOC健康調査票,CHCW健康調査票との相関分析をおこなった.
【結果】F-H群のDHEA-Sと「有意味性」に最も相関係数が高い正の相関が認められた(rs=0.5425, p<0.01).DHEA-Sと3つの価値「創造価値」「体験価値」「態度価値」に正の相関があった(p<0.01).H-H群のDHEA-Sと「社会面の因子」に負の相関があった(p<0.05).DHEA-S/コルチゾール比と「身体面の因子」に負の相関があった(p<0.05).
【考察】「機能的病態」では,DHEA-Sの値に寄与する要因として「生きる意味」の占める割合が増えることが示唆される.DHEA-Sに関連する因子の変化はサルトジェネシスの「健康,機能的病態,器質的病態,致死的病態,死」のプロセスと関連があると考えられた.