日本歯科医学教育学会雑誌
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新しい取り組み
歯科診療時の血圧測定が研修歯科医の意識に与えた効果について
杉本 浩司鎌田 幸治野上 朋幸多田 浩晃角 忠輝鵜飼 孝
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2023 年 39 巻 3 号 p. 152-160

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抄録

抄録 厚生労働省が定める歯科医師臨床研修の到達目標にもあるように,研修歯科医には口腔内だけでなく全身にも目を向けた全人的医療が求められている.2020年度より長崎大学病院口腔管理センターの研修歯科医が治療を担当する患者に対して,毎回の診療時に血圧測定を行う取り組みを行っている.そこで,2022年度歯科医師臨床研修プログラムにて長崎大学病院で1年間歯科医師臨床研修を行った24名の研修歯科医を対象として,毎診療時の血圧測定が研修歯科医に与える影響を検討するためにアンケート調査を行った.

 その結果,毎診療での血圧測定に必要性を感じ,診療に役立ったとした研修歯科医は9割を超えた.また,血圧測定をすることで高血圧症への理解が深まり,診療当日の血圧や全身状態ならび既往歴を意識して診療するようになったことが明らかとなった.さらに学部学生時代は医科歯科連携の重要性を理解していた者の割合は4割にとどまっていたが,毎診療時の血圧測定を通して医科との連携の必要性を感じた研修歯科医は9割以上となっており,医科歯科連携への意識の変化が認められた.

 今回のアンケート調査により,毎診療時の血圧測定が研修歯科医の全身状態を意識した患者管理や医科歯科連携の必要性の認識に対してよい変化をもたらしたことが示唆された.

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