2023 年 21 巻 1 号 p. 91-100
【はじめに】当院では器質的疾患のない身体的苦悩(BD)の患者に対して医師,鍼灸師および理学療法士を中心とした専門横断的(TD)チームアプローチを行っている.BDに対しTDチームアプローチにより認知行動が変容した1症例について,鍼灸師の立場から報告する.
【症例】30代,女性.X年6月中旬,左下肢にしびれが出現した.その後,左上肢,右手および右下肢のしびれと多彩な機能的症状を生じた.ホメオスタシスの歪みが観られ,心理的には不安が強い状態であったため,同月下旬,当院においてBDと診断した.
【経過】治療は鍼治療と手技療法を行った.また,これらと併行して心理的問題に対してバリント方式医療面接により,傾聴に徹した.その後,経過とともに認知行動が変容し,全人的な状態が改善した.
【まとめ】TDチームのメンバー全員が,専門的な身体的治療を行うと同時に,できる限り傾聴をすることは,患者の自己成長において有益であったと考えられた.