2002 年 31 巻 2 号 p. 193-201
歩行者の自然な挙動を解析するための,新しい画像解析のアプローチを提案する.そこでは,背景推定に対してはLMedS推定による方法の提案を行う.さらに,画素間の濃淡関係に基づく周辺増分符号相関を応用することにより,背景や対象物の濃度に影響されにくい領域抽出処理を示す.提案手法によって,撮影画像から歩行者をより正確に抽出し,行動指標を従来よりも正確に算出することが可能になる.歩行者の簡単な数理モデルに基づいて,密度及び占有率を推定する.利用空間解析に関しては,占有状況を評価することで歩行・滞留・未利用領域の分類を行う.アトリウムにおける実画像系列を用いた実験によって,提案手法の有効性を示す.