2002 年 31 巻 2 号 p. 234-243
本論文はパワースペクトルのモーメントを用いてテクスチャ平面の3次元位置の推定を行う方法を述べる.テクスチャ平面がカメラに近づくと画像は拡大し,その2次元パワースペクトルは低周波領域に縮小する.テクスチャ平面が傾き回転すると,パワースペクトルは傾く方向に拡大,回転する.それに対応してパワースペクトルのモーメントも変化する.標準のテクスチャ平面と位置推定されるテクスチャ平面の3つのスペクトルモーメントと1つの回転モーメントを比較すれば,テクスチャ平面のカメラからの距離,回転角,傾き角と傾く方向を推定することが可能になる.Brodatzのアルバムより取り出したテクスチャ平面画像によるシミュレーション実験とCCDカメラで捉えた実画像による実験を行い,この方法の有効性を示す.また,他の方法との推定誤差の比較を行う.