抄録
物体追跡処理に光感応蛋白質バクテリオロドプシンの光電変換機能を利用する,高効率の動画像特徴抽出処理を行うインテリジェントイメージセンサ構築の可能性を検討した.我々の提案するセンサは,バクテリオロドプシン分子を含む受光部と,特徴量分離抽出処理部の2つの機能部位から構成されている.受光部はバクテリオロドプシンの微分型応答特性により,動画像中の背景に模様があっても移動物体だけを抽出する機能があった.しかし,その1次応答出力は,輪郭情報の外の異なる種類の特徴量が重畳されてしまっていた.そこで,特徴量の分離抽出処理を行うことで,移動物体の輪郭,移動方向,および移動物体の領域を抽出することができた.これは蛋白質機能を利用した処理による一種のデータ圧縮である.我々の提案するセンサ構成による蛋白質バクテリオロドプシンの利用は,動画像特徴抽出処理の高効率化に有効である.