抄録
我々は顔認識のために,フーリエ変換レンズとしてマルチレベルゾーンプレートアレイを用いた光並列結合変換相関器とコンピュータによるハイブリッドシステムを提案している.本論文では光学系の設計と温度揺らぎや振動の問題を取り除いた実装により,高性能化を図った光学式小型顔認識装置(COPaC II:20×24×43cm3:6kg)の開発について述べる.バイオメトリクス認証のガイドラインに沿って,同日取得した300人の正面平常顔を用いた1:1照合の実験により,COPaC?の装置評価を行った.その結果,FNMR 1%未満,FMR 1%未満の低いエラーの割合を得た.アプリケーション適用実験として,10人を対象に3回試行まで可能とする28日間のログイン想定実験では,92.8%の登録者認識率と96.4%の未登録者排他率であった.この小型装置の処理速度は7face/sであり,十分に入退室管理やコンピュータログインなどのセキュリティへの応用が期待できる.