抄録
近年,個人固有の情報である身体的特徴を用いた個人照合方式(バイオメトリクス個人照合)が注目を集めている.その中の一つに,顔を用いた個人照合法がある.これまでに提案されている顔照合手法は,濃淡画像や輪郭画像といった2次元情報を用いる手法が主流であった.しかし,それらは照明環境の変動に弱く顔の向きの補正もできないため,データ取得の際,ユーザーに多くの制約をつけなければ満足のいく照合率が得られなかった.そこで我々は,光切断法により顔の3次元形状を実測し,得られた3次元情報から向きの較正を行い,顔表面の法線ベクトルを複素数表現した特徴量を用いて照合を行う手法を提案する.本論文では,提案する照合方式と本手法の有効性を示すために行った照合実験の結果を示す.