抄録
動画像符号化において,電子透かしを応用してビットストリームエラーの検出能力を向上させる方式について検討する.従来のエラー検出方式には,復号過程でのシンタックス違反やDCT(Discrete Cosine Transform)係数の特徴をDCTブロックに埋め込む方式に基づくものがあるが,エラー検出能力が十分でなかった.本論文では,エンコーダ側でマクロブロックのヘッダ,動きベクトル,DCT係数の特徴を抽出し,これを透かし情報として量子化DCT係数に埋め込み,デコーダ側ではそれらを抽出し,伝送された情報の復号結果と比較することによりエラー発生の有無を判定する新たな方式を提案する.シミュレーションにより,提案方式は従来方式と比べてエラー検出能力が大幅に向上し,しかも埋め込まれた情報による画質の劣化も小さいことを示す.