抄録
テンプレートマッチングの代表的な手法として,正規化相関マッチングがある.しかし,探索対象となる部分画像は,登録されているテンプレート画像に対して正立しており,ほぼ同サイズである必要がある.画像処理技術を用いて,日常生活を支援するシステムの構築などを考えた場合,対象画像内から二次元的な位置,傾き,およびサイズ関して自由度を持つ日用品などを探し出す必要も生じるが,傾き,サイズの変化に対応するためには,それぞれの姿勢パラメータを変化させながらマッチングを行う必要があり,膨大な計算コストを必要とする.一方,人間の主観によって登録されたテンプレート画像が信頼性保持,高速化を考えた場合,必ずしも最適である保証はない.本論文では,濃淡画像内から,テンプレート画像に対して,位置,傾き,サイズに関して二次元的な自由度を持つ部分画像を探索するための手法を提案する.目的とする部分画像をマッチングの信頼性を保持しつつ高速に発見するために,テンプレート画像の登録処理,および部分画像の探索処理の双方について,遺伝的アルゴリズムを適用する.実験により,提案手法が信頼性を保持しつつ,高速な探索が行えたことを示す.