抄録
ユビキタスネットワーク社会の形成に向け,地域における産学公と市民の連携はITの推進力として注目されている.筆者らは2000年に地域ITコンソシアムを設立し,そして実践的研究としてディジタル福祉マップの開発を進めている.ディジタル福祉マップは高齢者や障害者の方々が安全,安心して外出できるように,インターネット上に障害物や生活情報などの福祉情報を掲載したマップのことである.本稿では,はじめに地域ITコンソシアムの概要を示す.次に産学公と市民が協力して構築するディジタル福祉マップのモデルシステムのシステム構成,設計に関する技術検討結果を示す.更に地域ボランティアを中心に実施した地域実証実験の結果を示す.実験に参加した利用者の評価により本モデルシステムの有効性,利便性を確認するとともに地域におけるIT推進に関する今後の課題について触れる.