画像電子学会誌
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32 巻, 5 号
Special Issue on the Image and Visual Electronics Technologies in Ubiquitous Society
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
招待論文
  • 小宮 一三
    2003 年 32 巻 5 号 p. 569-576
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    ユビキタスネットワーク社会の形成に向け,地域における産学公と市民の連携はITの推進力として注目されている.筆者らは2000年に地域ITコンソシアムを設立し,そして実践的研究としてディジタル福祉マップの開発を進めている.ディジタル福祉マップは高齢者や障害者の方々が安全,安心して外出できるように,インターネット上に障害物や生活情報などの福祉情報を掲載したマップのことである.本稿では,はじめに地域ITコンソシアムの概要を示す.次に産学公と市民が協力して構築するディジタル福祉マップのモデルシステムのシステム構成,設計に関する技術検討結果を示す.更に地域ボランティアを中心に実施した地域実証実験の結果を示す.実験に参加した利用者の評価により本モデルシステムの有効性,利便性を確認するとともに地域におけるIT推進に関する今後の課題について触れる.
論文
  • Chih-Chang HSU, Yoshikazu TANNO, Terumasa AOKI, Hiroshi YASUDA
    2003 年 32 巻 5 号 p. 577-588
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    This paper proposes a Multicast-like delivery tree construction protocol and a video merging algorithm of the Active Video Delivery (AVD) mechanism that can be utilized for delivering a multiple video digest. It considers the problems that exist in the current state of IP Multicast networks and addresses issues regarding the efficiency of delivering streaming video content. The multiple video digest system provides users with an initial multiple video preview upon their requests, instead of requiring a direct download of large video files. With such a system in place, two problems can be solved: (i) the shortening of time required to retrieve videos from large-scale video archives; and (ii) helping users to choose the desired content efficiently.
      The results in our analytic model and simulations indicate that with a properly chosen AVD Sharing stream regeneration threshold, our proposed mechanism significantly reduces the resources, such as the total network cost, the average link load, and the video server bandwidth requirement, which are required to distribute the requested video content. In addition, results based on simulations confirm that the AVD tree can achieve the same efficiency as that of conventional IP Multicast approaches.
  • 内田 顕貴, 田中 清, 砂押 貴之, 河尻 寛之
    2003 年 32 巻 5 号 p. 589-600
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    無線通信網などを介して動画像を配信するためには,そのデータ容量の大きさからビットレート制御が不可欠である.従来,画像圧縮符号化技術では量子化の程度を調整することにより,ある程度のビットレート制御は行うことができるが,より局所的な制御を行うためには不十分である.このような観点から,画像の視覚的に重要な成分はできるだけ保存し,その他の部分を積極的に平滑化して,動画像符号化におけるビットレートを向上させる適応型プレフィルタを提案する.更に,この方法の時間方向への3種類の拡張方法を提案し,圧縮率および画質に関する効果の検証を行っている.
  • 譽田 正宏, 中山 貴裕, 竹内 宏次, 小谷 光司, 大見 忠弘
    2003 年 32 巻 5 号 p. 601-608
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    文字と自然画像が混在する画像コンテンツに対して画像品質の劣化を抑制できるベクトル量子化静止画像圧縮技術を開発した.画像のテクスチャに着目して解像度変換を施すことを特徴とする誤差判定適応解像度変換技術および,学習・更新を前提としない4×4,2×2画素ブロックのコードブック作成手法を開発し,XGA(1024×768画素)フルカラー画像の圧縮において,JPEG,JPEG2000に対して2—40dB程度の画質優位性を達成した.また,本アルゴリズムを用いて静止画像無線伝送システムを構築し,XGA画像の伝送時間約2.1秒を実現した.
  • 宋 学燮, 岡田 浩行, 藤田 玄, 尾上 孝雄, 白川 功
    2003 年 32 巻 5 号 p. 609-620
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    本稿では,MPEG-4動画像復号化における高性能エラー隠ぺい方式を提案する.無線環境下での伝送路エラー対策として,MPEG-4動画像符号化ではエラー耐性ツールが規定されているが,それらのツールを適用した後の残存エラーに対するエラー隠ぺいに関しては特に規定はなく,高性能なエラー隠ぺい手法の開発が望まれている.既存のエラー隠ぺい手法には演算量が大きい,あるいは動きの大きな画像での性能が劣化するなどの問題点がある.提案方式はマクロブロックの時間的あるいは空間的相関性を利用することによって演算量を削減し,様々な画像シーケンスやエラーレートに対して安定した性能を実現する.具体的には,マクロブロックに対して改良DMVE法あるいは適応空間探索法を選択的に活用して処理を行うハイブリッド方式を採用する.改良DMVE法は動きベクトルの時間的空間的相関性を利用し,演算量を削減しつつ,精度の高い動きベクトルによる隠ぺいを行う.一方,適応空間探索法は現フレーム内で類似画素を探索することにより,高周波数成分の劣化の少ない隠ぺいを可能としている.MPEG-4ソフトウェアデコーダを用いてシミュレーションを行った結果,提案方式は様々なエラーレートや画像シーケンスに対し,主観的および客観的に良い性能を示すことを確認した.
  • 小谷 章夫, 小山 至幸, 密山 幸男, 尾上 孝雄
    2003 年 32 巻 5 号 p. 621-628
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    携帯電話などのモバイル端末を利用したメールサービスやインターネットサービスは,もはや日常生活の一部となり,ユビキタス社会において不可欠なものとなりつつある.モバイル端末では,その小さな筐体に組込んだ画面上にあらゆる情報を表示するため,表示する文字の可読性がきわめて重要になっている.実際,文字は個々の表示デバイスにあわせて設計されているのが現状である.ところが,文字の完成度の評価は主観に頼らざるを得ず,莫大なコストを要する.そこで本稿では,文字の可読性を左右する4大要素である「中心・重心」,「部首バランス」,「ふところ」,「ストローク」について,特に,文字を設計する上でもっとも重要な「文字の重心」に注目し,評価実験を行うことによって主観評価と客観評価の相互関係を明らかにする.更に,独自開発した液晶デバイス向けフォント“LCFONT”の開発ツールに組込むことにより,主観による評価を補うことで文字の設計コストの削減を図る.
  • 山崎 恭, 近藤 維資, 小松 尚久
    2003 年 32 巻 5 号 p. 629-634
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    ディジタル音声通信で使用される符号化された音声には,音韻性情報と個人性情報が保存されており,これらの情報を適切に処理することにより,符号化された音声情報のみを用いて音声認識あるいは話者認識を実現することが可能になると考えられる.そこで,本稿では携帯電話をはじめとするディジタル音声通信における音声符号化方式との親和性を考慮した新たな話者照合方式を提案する.提案方式では,移動通信システムやIPネットワークで利用されているCELP(Code Excited Linear Prediction:符号励振線形予測)符号化方式により符号化された音声情報を使用して話者照合を行うため,(1) 移動通信システムに適用した場合,照合のために必要な機能の追加を抑えられ,重量やサイズに制限のある端末側での認証に有利である.(2) 調音動作を反映するパラメータを使用することにより,話者の発話内容に依存しないテキスト独立型の話者照合が可能である,といった特徴を有する.実際の音声を用いたシミュレーション実験により提案方式の信頼性を評価した結果,提案方式の有効性が明らかとなった.
  • 阿倍 博信, 脇本 浩司, 神田 準史郎, 重野 寛, 岡田 謙一
    2003 年 32 巻 5 号 p. 635-644
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    本稿では,動画ハイパーメディアにおいて,リンクの起点となるアンカーの設定を効率的に行う方式として動画像解析に基づく自動追跡とマニュアル編集を組み合わせた方式を提案する.本方式に基づくアンカー設定方式により,(1)双方向追跡の適用による追跡効率の向上(2)中間点削除処理による手作業でのアンカー修正作業の効率化,という利点を得ることができる.本稿では,提案した方式に基づきアンカー設定ソフトウェアを構築し,スポーツ映像を対象としてアンカー設定方式の評価実験を行った.評価実験の結果をまとめたところ,その有効性を実証することができた.
  • 高木 真一, 小舘 亮之, 池上 大介, 浜 崇之, 石川 孝明, 石川 裕也, 近藤 雅恵, 松岡 正悟, 富永 英義
    2003 年 32 巻 5 号 p. 645-658
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    本稿では,いつでもどこでもブロードバンドインターネットアクセスが利用できる環境下を想定し映像編集サーバを設置し,クライアントPCから一般Webブラウザのみを利用していつでもどこでも映像編集が行えるネットワーク型映像編集システムの提案を行う.ブロードバンドネットワークの普及によって映像流通構造が大きく変化したことによる,映像コンテンツ制作(編集)に対する要求を整理し,実際にネットワーク型映像編集システムの実装を行った.作業時間を計測する評価実験によって,従来の労働集約的作業であったVTRによる素材映像の内容把握に要する作業時間を,本提案システムを利用することで大きく削減できることが確認でき,本システムの有効性を示すことができた.
  • 包 躍, 中田 崇行, 赤坂 英彦
    2003 年 32 巻 5 号 p. 659-666
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    画像から任意の図形を弱中心射影変換に不変な形で検出する問題は,画像認識において基本的で重要な研究課題である.図形輪郭の接線情報を利用する従来の方法では,直線図形を検出できないため,筆者らは図形重心を利用して弱中心射影変換に不変な軸を抽出する方法を提案した.この方法は曲線形状のみでなく,直線や,直線と曲線とが混在する図形にも適用可能である.しかし,重心算出の結果に基づく方法のため,図形が欠損すると重心が移動し,検出が困難になる問題があった.本稿では重心算出が不要で,図形の欠損にも対応できる新しい方法を提案する.
  • 包 躍, 服部 晋也
    2003 年 32 巻 5 号 p. 667-673
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    メガネなし立体ディスプレイの多くは,観察者が観察領域からずれるとクロストークや逆視が生じるため観察者は限られた位置でしか立体視することができなかった.最近では観察者トラッキングと組み合わせることで逆視をなくしたり,運動視差の再現ができるようになったりしたが,一人にしか対応できないという問題があった.そこで本稿では,パララックスバリア方式において三視差を用いた画像表示で二人の観察者に対応できるトラッキング型立体ディスプレイを提案する.提案システムでは,観察位置に応じた二つの画像表示方式があり,試作システムを用いた実験により二人の観察者は常に逆視のない立体視が可能となることを確認した.
  • 包 躍, 芳賀 誠士
    2003 年 32 巻 5 号 p. 674-679
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    本の端部の三次元形状を計算に用いてゆがんだ紙面を復元する手法が既に提案されているが,紙面にねじれが発生した場合には対応できなかったり,紙面の三次元形状を求めていないため小さい文字を正確に補正することは困難であったりする問題があった.本稿では本の紙面の形状が可展面であり,その曲面は直線エレメントで構成できるということに注目し,画像処理により直線エレメントを抽出してこれを平面に展開することで紙面を復元する手法を提案する.
論文
  • 佐貫 俊幸, 土井 章男
    2003 年 32 巻 5 号 p. 682-690
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    ネットワークを介したコンテンツ配信を安全に行うためには,コンテンツの保護と著作権管理の仕組みが必須である.しかしながら,従来のコンテンツ配信システムは,コンテンツのフォーマットに依存したライセンス条件の管理を行うため,汎用的な著作権管理を行うためには多くの制約を伴った.そこで我々は,柔軟なライセンス条件の管理が可能なアーキテクチャを考案し,コンテンツ配信システムに導入した.本稿では,この著作権保護管理システム(DRMS)のアーキテクチャについて述べる.本システムは,階層化された著作権管理方式を導入し,公開鍵認証方式(PKI)のモデルおよびセキュアなパッケージ化技術などを応用して,ライセンス条件を適切に制御,管理可能な機構を実現した.本システムの有効性を検証するために,インターネットを介した映像配信システムに適用し,その評価を行った.
  • 菅沼 優子, 久永 聡, 田中 聡, 臼井 澄夫, 竹内 芳明, 山本 貴夫, 庄司 公明
    2003 年 32 巻 5 号 p. 691-699
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    博物館などの屋内空間を三次元コンピュータグラフィックスにより再現し,バーチャル美術館やバーチャル博物館を実現しようとする試みがある.本稿では,博物館や地下街などの建物内部を撮影した画像を用いて,屋内空間に存在する物体を考慮した屋内空間の三次元モデルを簡易的に制作する手法を提案する.屋内空間と物体を複数の連続した直方体で近似し,屋内空間のモデリングの過程でフロアの中央に存在する物体に対しても簡易的にモデリングする.各直方体の内部の面に相当する領域を撮影した画像を利用して,屋内空間および物体の形状データとテクスチャデータを半自動処理によって生成できるようにした.本手法により,柱などの物体が存在する地下街などの三次元モデルを制作する実験を行い,有効性を確認した.
  • 中山 忠義, 長谷川 まどか, 加藤 茂夫
    2003 年 32 巻 5 号 p. 700-708
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    ロッシーアダマール変換のPSNRを改善する手法について検討した.アダマール変換係数を整数へ丸めるとき,通常はある値(オフセット値)を加算した後,切り捨て操作が行われる.この加算するオフセット値に依存して変換誤差が発生するが,提案方式では,この誤差の平均値成分に着目し,逆変換した復元データに重畳する丸め誤差の平均値成分を,逆変換時に加算するオフセットで打ち消す.これにより,丸め誤差のパワーを減らしPSNRの改善を図るものである.
      PSNRを改善した結果,二次元4×4次アダマール変換において,部分空間が可逆変換されていることが判明した.入力データ空間は,データの和が偶数になる部分空間と和が奇数になる部分空間とに分けることができ,オフセット行列を生成する基になるベクトルを適当に選ぶと,二つの部分空間の一方を可逆変換できることが分かった.
      データもしくは変換係数の和が奇数か偶数かに基づいて,オフセット行列を切り換えることにより,二次元4×4次のロスレスアダマール変換を実現する変換方式を提案し,ロスレス変換係数のエントロピー評価を行った.
  • Rina SAKAI, Kiyoshi MABUCHI
    2003 年 32 巻 5 号 p. 709-716
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/10/06
    ジャーナル フリー
    In orthopedic medicine, many operations are conducted to replace a bone with an implant. In the case of femoral stem fixation in total hip arthroplasty, the initial fixation is important. There are two concepts to consider for an ideal fixation: One common concept is that a wider contact area is better for fixation because lower stress must be better for biological tissues. Another concept is that the fixation force should be distributed to avoid the stress shielding of bone. Optimal design of joint prostheses has been generally investigated under these concepts. In this study, the 3-D FEM was used to map the stress distribution on the contact area of a virtual model of a bone tissue and prosthetic stems. The CT imaging of DICOM data was used to construct of a FF stem and an IMC stem models. Furthermore various mathematical model that simulating the contact mechanism between the materials and bone tissues were constructed. As a result, the wider the apparent contact area, the greater the fluctuation. The contact area can be limited by IMC stem fixation. It was concluded that the general concept unconditionally recommending a larger fixation site area for joint prostheses, should be revised.
カラーデバイスと画像・信号処理 III
ブロードバンドの動向と技術 I
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