抄録
メガネなし立体ディスプレイの多くは,観察者が観察領域からずれるとクロストークや逆視が生じるため観察者は限られた位置でしか立体視することができなかった.最近では観察者トラッキングと組み合わせることで逆視をなくしたり,運動視差の再現ができるようになったりしたが,一人にしか対応できないという問題があった.そこで本稿では,パララックスバリア方式において三視差を用いた画像表示で二人の観察者に対応できるトラッキング型立体ディスプレイを提案する.提案システムでは,観察位置に応じた二つの画像表示方式があり,試作システムを用いた実験により二人の観察者は常に逆視のない立体視が可能となることを確認した.