画像電子学会誌
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論文
ロッシーアダマール変換のPSNR改善手法とロスレスアダマール変換符号化への応用
中山 忠義長谷川 まどか加藤 茂夫
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2003 年 32 巻 5 号 p. 700-708

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抄録
ロッシーアダマール変換のPSNRを改善する手法について検討した.アダマール変換係数を整数へ丸めるとき,通常はある値(オフセット値)を加算した後,切り捨て操作が行われる.この加算するオフセット値に依存して変換誤差が発生するが,提案方式では,この誤差の平均値成分に着目し,逆変換した復元データに重畳する丸め誤差の平均値成分を,逆変換時に加算するオフセットで打ち消す.これにより,丸め誤差のパワーを減らしPSNRの改善を図るものである.
  PSNRを改善した結果,二次元4×4次アダマール変換において,部分空間が可逆変換されていることが判明した.入力データ空間は,データの和が偶数になる部分空間と和が奇数になる部分空間とに分けることができ,オフセット行列を生成する基になるベクトルを適当に選ぶと,二つの部分空間の一方を可逆変換できることが分かった.
  データもしくは変換係数の和が奇数か偶数かに基づいて,オフセット行列を切り換えることにより,二次元4×4次のロスレスアダマール変換を実現する変換方式を提案し,ロスレス変換係数のエントロピー評価を行った.
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© 2003 一般社団法人 画像電子学会
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