抄録
カメラにより撮影された人物のプライバシ保護はモザイキングなどの不可視化により実現できる.不可視化と同時に,被写体の特定が必要な際に,原画像に戻せる手法が提案されている.ところが,復元画像の証拠能力は乏しいため,復元画像の真正性を証明できる方法が必要である.本稿では,公開鍵暗号方式を応用し,公開鍵によって作られる暗号化ストリームから,復元画像の真正性証明が可能な手法を提案する.原画像への復元を必要とせず,また,不可視化により真正性が失われることがないため,真正性証明とプライバシ保護を両立できる.また,原画像への復元に必要な暗号化データを,ハフマン符号化の特性を利用した電子透かしを用いて出力画像に埋め込むことで,ファイルサイズの増加がおさえられる.