抄録
物体の輪郭を成すエッジは自然画像が持つ滑らかに変化するエッジと文字・CG画像が持つ急峻なエッジの2種類があると考えられる.しかし,従来の拡大手法はエッジによる画像の違いに関係なく拡大するため, ジャギーやボケ,リンギングなどのノイズが発生していた.本稿では2種類の画像のうち,文字・CG画像にエッジの種類を絞った拡大法を提案する.具体的には,内挿点の近傍4画素の濃度差を用い,濃度差がない平坦な濃度変化の領域においては共一次補間法で滑らかに補間, 逆にエッジがある領域においては濃度差からエッジの位置と方向を推定し,内挿点とエッジの距離から濃度値を算出した.また,推定したエッジを周囲の領域へ追跡し,傾きを変化させることで滑らかに接続した.提案手法と従来手法を視覚評価及び数値評価から比較し,提案手法の有効性を明らかにする.