抄録
視覚機能は,それを可視化することが容易であるので 人間の種々の精神活動の基になる脳機能の中で最も理解しやすい. そのため,視覚機能を理解することにより高度知能の理解 に迫ることが期待できる. そこで 蛇のような細長い形状を見たとき,後天的よりもむしろ先天的に 恐怖を感じるよう視覚機能が進化してきたであろうことを,我々は 進化論の立場からシミュレーションにより示してきた. 一方,画像処理の立場からは 画像からの奥行認識は一つの重要な課題である. そこで本稿では両眼立体視機能は進化の過程から自然に 発生しうるものであるか否かを GAアルゴリズムを用いた人工生命体の視覚系進化のシミュレーションにより論じる. まず,我々は,ステレオ知覚能力を持つ 人工生命体を二つのタイプの神経回路網とGAで構成する. ここで探索空間は膨大なので,進化過程では子供(訓練のみ)と大人(増殖) の2グループに分ける.次に,この生命体の目標物の2D認識と動き物体の2D予測地図を 作成する.これにより,両眼立体視機能も進化の過程で自然に 発生しうることを示す.