画像電子学会誌
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論文
スリット画像を用いた移動物体の挙動解析
田代 裕子齊藤 剛
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2010 年 39 巻 5 号 p. 725-732

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抄録
今日,情報技術の向上と記憶媒体の廉価化により,多くの映像がディジタル化され,コンピュータ上に格納されている.これらの動画像や映像は固有な利用目的を持って蓄積されるが,特定画面の検索や閲覧および時刻をパラメータとする特徴抽出のための方策が必要である.本研究の目的は,固定カメラにより長時間撮影された特定空間の状況を簡潔に表現し,特定の情報に素早くアクセスできる映像表現手法,および,これを利用して撮影空間の特徴抽出を行う手法を開発することにある.本研究では,撮影空間内の特定部分空間を時系列的に表示するスリットカメラの原理を利用し,特定時間間隔の動画の内容を1枚のスリット画像として表現する.スリット画像の時間方向の位置は元の動画のフレーム番号に対応する.従って,スリット画像を元の動画像のインデックスとして利用できる.更に,生成したスリット画像に対してのみ画像処理することにより,元の動画像を参照することなく,撮影された動画像の特定時間区間の特徴抽出が可能となる.これらの具体的な適用事例として,牛舎内を自由行動する複数頭の牛を撮影した映像から,牛舎内のどの領域に牛が存在するかを時間推移と共に直観的にわかりやすく表示する方法を考案した.
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© 2010 一般社団法人 画像電子学会
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