抄録
現在物理的な入室管理法として多く使用されているのが,鍵やパスカードなどである.これらは盗難や紛失といったリスクがあるが,簡易であるため広く用いられている.また近年バイオメトリクス認証も注目を集めている.バイオメトリクス認証は人間の行動的,身体的特徴を用いた個人認証システムである.この手法は偽造しにくいという利点があり,指紋認証や光彩認証などが普及し実際に使用されている.しかし,これらの手法には鍵を差し込む,パスワードを入力する,専用機器に指を触れさせる,目をかざすといった認証のための特別な動作が必要となる.本研究ではドアノブを握るという日常の動作の中に認証システムを組み込み,ユーザに認証動作を意識させないシームレスな個人認証システムの構築を目指す.本稿では,カメラを内蔵したインテリジェントドアノブ型装置の製作と掌紋の取得およびその認証について述べる.