2011 年 40 巻 5 号 p. 862-873
画像のベクトル量子化では,コードブックのサイズが大きくなると,符号量が増大してしまうことに加え,学習型のコードブックを用いる場合には,そこに冗長なコードベクトルを含むという問題がある.これらを解決する手法として,画像をエッジ領域とそれ以外の領域に分割し,各領域に対して用意した少数の人工的な形状パターン群に基づくベクトル量子化手法を提案する.エッジを除く領域は定常性を満足していることから,単調な輝度変化を有する基本的な形状パターン群である画像構成基本要素と呼ばれるコードブックを定義することで十分な精度での近似が可能である.本稿では,画像構成基本要素を用いたベクトル量子化を行うにあたって,符号化パラメータに対する最適な量子化ビット配分を明らかにする.更に,符号化パラメータの予測を行うことで,画質を劣化せず符号量を削減する手法を提案する.少数のコードベクトルで構成可能な提案手法の符号化性能は,従来のベクトル量子化方式と比較して,低ビットレートにおいて改善されることが明らかになった.