2011 年 40 巻 5 号 p. 900-908
大規模災害が発生すると,地上の通信ネットワークの破綻,多数の死傷者の発生,電気・ガス・水道などのインフラ麻痺が起きることが指摘されている.このような場合は,地上の状態に左右されない衛星通信網を用いた遠隔医療支援システムの構築が必要になる.医療救援措置に関して,負傷者の外観情報を立体画像で伝送できれば,トリアージの効率化に大きく貢献できると考えられる.そこで,本稿では遠隔医療への立体画像適用の可能性を調べるため,ETS-VIIIを用いて音声を付加したステレオ動画像のストリーミング伝送実験を行った.その結果,本システムの適用限界と伝送帯域との関係が得られた.