画像電子学会誌
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論文
画像のサブバンド符号化における尖度に基づいた帯域の最適分割
亀田 昌志白川 将寛
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2014 年 43 巻 1 号 p. 3-12

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抄録

サブバンド符号化は,画像を複数のサブバンドに分割した後,それぞれの信号に適切な処理を行う高能率符号化の一手法である.サブバンド符号化の符号化性能を改善する手法として,入力画像の特性に応じて 2次元周波数領域の分割パターンを変更する最適帯域分割が提案されている.しかしながら,最適帯域分割は,入力画像の信号電力に基づいて分割パターンを決定しているために,量子化により信号電力が変化する低符号化レートの場合には,求められた分割パターンが真に最適なものになっていないと考えられる.そこで,最適帯域分割における低符号化レート時の符号化性能改善を目的として,指定された符号化レートに対して,PSNR対エントロピー特性の観点で,2次元周波数領域上の最適な分割パターンと,各サブバンドに適用する量子化器の最適な組合せを求める手法を提案する.提案手法では,信号の特徴を表すパラメータとして,エントロピーとも関連する尖度を用いることで,分割パターンおよび量子化器の組合せの最適化を実現し得る低処理コストのアルゴリズムを開発する.実画像に提案手法を適用した結果,従来の最適帯域分割と比較して,低符号化レートの場合に,約 0.5[dB]の符号化性能の改善が確認された.

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© 2014 一般社団法人 画像電子学会
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