2022 年 70 巻 12 号 p. 586-589
鳥や魚,アリやバクテリアなどの生き物は,時として整然とした集合体(=群れ)を作りだす。これらの自然界にみられる群れの中には,司令塔としての役割を果たすリーダー的な個体は存在せず,隣り合う個体から受ける情報(相互作用)のみに基づいて自在にその形態を変化させることができる。近年,このような自然界の群れの持つ特性に注目し,“集団で機能する機械的なシステム(群ロボット)”の研究がロボット工学の分野で関心を集めている。本稿では,当研究グループが開発した分子群ロボットの概要を解説するとともに,今後に期待される分子群ロボットの応用について述べる。