2015 年 44 巻 3 号 p. 426-435
ロボットの利用される環境は,従来までの工場などの空間から人間の生活空間といった多様な環境に変化してきている.環境中をロボットが移動するためには,障害物の位置情報などの幾何学的特徴により構成される環境地図が必要である.しかし,上述のような環境では事前に環境地図を準備することが困難であるため,ロボットによる自律的な環境地図構築手法が求められている.近年,kinect に代表されるような安価で手軽に使用できる距離画像センサの利用が注目されている.しかし,本来,距離画像センサは人の動作を捉えるモーションキャプチャなどでの利用を目的としており,高精度な計測を目的としたセンサではない.したがって,深度情報の精度は低く,細かな形状の計測を目的とした利用には限度がある.本論文では高精度の距離画像データを取得することを目的としたセンサのキャリブレーション手法を提案する.提案手法ではセンサの個体ごと及び画素ごとに最小二乗法を用いて補正のための線形関数を導出した.また,センサからの距離に応じて近距離用及び遠距離用の2種類の補正式を用いることにより,距離画像センサから得られる点群データの高精度な補正が可能であることを明らかにした.