画像電子学会誌
Online ISSN : 1348-0316
Print ISSN : 0285-9831
ISSN-L : 0285-9831
論文
ベタプリント色モデルに基づく2インキ層オーバープリントの色予測
徐 咏馳徐 錦林
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 49 巻 2 号 p. 102-109

詳細
抄録

多色印刷ではインキの重ね刷り(オーバープリント)が必然的に発生し,第一色のインキ層が乾かないうちにオーバープリントした第二色のインキ層が薄くなるという,いわゆるインキトラッピング率問題が生じる.本論文では,まず均質で平坦なインキ層を想定してインキ層分布を表す等価表現方法について述べ,インキ層の厚さの比を用いてインキトラッピング率を表示する.次に,紙とインキの光散乱特性に基づく単色のベタプリントの色予測モデルを参考にして,第一色のベタプリント色モデルに基づく2インキ層オーバープリントの色予測方法を提案する.その中で,印刷物中のインキ層の光学パラメータを測定するために,透明フィルムに印刷したベタインキ層(模擬インキ層)の考えを導入する必要性,および模擬インキ層の製作方法について説明し,特定の波長におけるインキ層の逆方向透過率によってインキ層の厚さを推定するアルゴリズムを説明する.続いてオーバープリントのプロセスを正確にシミュレートするためのサンプル作成技術を導入する.さらに,模擬インキ層の反射率を補正する処理の必要性と補正方法について具体的に説明する.最後に,実験サンプルの予測値と実測値との比較結果を示し,本予測モデルにより2インキ層オーバープリントの色を正確に予測できることを確認した.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 画像電子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top