2020 年 49 巻 2 号 p. 110-118
グリーンノイズ拡散法による電子透かしは,強く埋め込んでも視覚的に高画質性を保ち,印刷耐性もあり可逆であるという特徴を持つ.しかしながら,運用形態によっては埋め込み容量がまだ十分ではなく,かつ,ブロック型のため結託攻撃を受けやすいという点で問題がある.そこで,多値化による埋め込み量の増大を図り,グレイコードと誤り訂正符号を用いることにより抽出エラーを低減し,印刷耐性をさらに高め,普通紙や汚れた印刷物からの透かし抽出も可能とするとともに,カモフラージュ・パターンを導入し結託攻撃からの安全性を向上させることで性能の改善を図ることができた.さらに,Annotationとしての応用では埋め込み画像に事前に僅かな平滑化を行うことにより,画像による依存性を少なくし,様々な画像に対して安定した透かしの抽出を実現した.