画像電子学会誌
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49 巻, 2 号
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随想
追悼文
論文
  • 徐 咏馳, 徐 錦林
    2020 年 49 巻 2 号 p. 102-109
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    多色印刷ではインキの重ね刷り(オーバープリント)が必然的に発生し,第一色のインキ層が乾かないうちにオーバープリントした第二色のインキ層が薄くなるという,いわゆるインキトラッピング率問題が生じる.本論文では,まず均質で平坦なインキ層を想定してインキ層分布を表す等価表現方法について述べ,インキ層の厚さの比を用いてインキトラッピング率を表示する.次に,紙とインキの光散乱特性に基づく単色のベタプリントの色予測モデルを参考にして,第一色のベタプリント色モデルに基づく2インキ層オーバープリントの色予測方法を提案する.その中で,印刷物中のインキ層の光学パラメータを測定するために,透明フィルムに印刷したベタインキ層(模擬インキ層)の考えを導入する必要性,および模擬インキ層の製作方法について説明し,特定の波長におけるインキ層の逆方向透過率によってインキ層の厚さを推定するアルゴリズムを説明する.続いてオーバープリントのプロセスを正確にシミュレートするためのサンプル作成技術を導入する.さらに,模擬インキ層の反射率を補正する処理の必要性と補正方法について具体的に説明する.最後に,実験サンプルの予測値と実測値との比較結果を示し,本予測モデルにより2インキ層オーバープリントの色を正確に予測できることを確認した.

  • 河村 尚登, 姜 玄浩, 岩村 恵市
    2020 年 49 巻 2 号 p. 110-118
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    グリーンノイズ拡散法による電子透かしは,強く埋め込んでも視覚的に高画質性を保ち,印刷耐性もあり可逆であるという特徴を持つ.しかしながら,運用形態によっては埋め込み容量がまだ十分ではなく,かつ,ブロック型のため結託攻撃を受けやすいという点で問題がある.そこで,多値化による埋め込み量の増大を図り,グレイコードと誤り訂正符号を用いることにより抽出エラーを低減し,印刷耐性をさらに高め,普通紙や汚れた印刷物からの透かし抽出も可能とするとともに,カモフラージュ・パターンを導入し結託攻撃からの安全性を向上させることで性能の改善を図ることができた.さらに,Annotationとしての応用では埋め込み画像に事前に僅かな平滑化を行うことにより,画像による依存性を少なくし,様々な画像に対して安定した透かしの抽出を実現した.

  • 小林 巧, 杉浦 裕太, 斎藤 英雄, 上間 裕二
    2020 年 49 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    本論文では,ユーザー自身が矯正眼鏡を着用した状態のままでも利用可能な新しい仮想眼鏡試着の映像生成手法を提案する.研究背景として,眼鏡店を訪れる消費者は鏡を使って試着用の眼鏡が自分に似合っているかどうか試すが,視力が悪いために矯正眼鏡を掛けた状態でないと鏡に映った自身の様子を確認できないというジレンマが存在する.スマートフォンのカメラで撮影したユーザーの顔画像に仮想的に眼鏡を掛けた映像を生成するアプリケーションも存在するが,それらほぼ全てのシステムは眼鏡を外した顔の画像または動画を撮影して仮想眼鏡を重畳することを前提としているため,視力の悪いユーザーが画面をはっきりと見ることができないという課題は解決されていない.そこで本手法では,カメラで撮影した動画中の実眼鏡領域を本人の皮膚テクスチャで上書きすることで消去し,さらに別の仮想眼鏡を重畳した複合現実感映像を生成する.これにより,眼鏡試着における障壁を取り除くことが可能な3次元仮想試着を実現する.また,ユーザーの顔の動きに合わせてリアルタイムに3D仮想眼鏡を表示するために,高精度で高速に顔追跡可能な顔解析ツールを応用する.さらに,矯正レンズの歪みによる変化と光の屈折・反射も考慮して仮想レンズを描画することで,通常の試着用眼鏡では確認できないようなより実際の眼鏡を掛けた状態に近い映像を生成することが可能となる.実験を通して,眼鏡を掛けた状態のままでも違和感の生じない試着映像がリアルタイムで生成されたことを示し,その有効性を確認する.

ショートペーパー
  • 盧 忻, 城澤 大輝, 木村 彰男
    2020 年 49 巻 2 号 p. 128-135
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    物体認識問題においてHOG特徴量,およびそれを機械学習させて対象物を識別する方式は,きわめて有効な手法として知られており,最近ではさらにその性能を向上させる手法として特徴量の分散の考慮や,多重解像度的な特徴量の構成手法の提案なども行われている.本論文はある適切な範囲のセルサイズとブロックサイズを様々に組み合わせて複数種類の従来型HOG特徴を算出し,これらすべてを学習に利用するというシンプルな手法における画像認識性能を評価している.その結果,特に,顔や身体の実画像を用いた評価実験において,従来型HOGより若干の計算時間の増加は伴うものの,CoHOGやMRCoHOGなど極めて複雑な最新手法に匹敵する学習性能が得られることを示す.

  • 中道 一貴, 陸慧 敏, 金亨 燮, 米田 和恵, 田中 文啓
    2020 年 49 巻 2 号 p. 136-143
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    現在,日本人の死因第一位はがんであるが,転移を起こす前の早期発見,早期治療が重要であることが知られている.そこで,新しいがん検査のためのバイオマーカーとして血中循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cells)が注目されている.CTCは転移性がん患者の血液に存在し,その解析を行うことにより,がんの検査や抗がん剤の治療効果の評価が可能とされている.病理学者は血液サンプルを蛍光顕微鏡で撮影した画像から解析を行うが,血液中に含まれるCTCの数は非常に少数であるため,負担の大きい作業となる.そこで本稿では,蛍光顕微鏡画像からCTCの自動検出法を提案する.提案手法では,まず選択的強調フィルタとブロブ解析を用いて細胞領域を検出したのち,畳み込みニューラルネットワークの一種であるSqueezeNetを用いてCTCの識別を行う.SqueezeNetへの入力画像には,蛍光顕微鏡で撮影された3種類の画像を合成したものを用いる.実験では,6症例(5,040枚の画像)に対し提案手法を適用し,真陽性率:97.30[%],偽陽性率:3.150[%]という良好な結果を得た.

コーヒーブレイク
報告
  • 大上 俊, 森久 保愛, 田代 裕子
    2020 年 49 巻 2 号 p. 146-153
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    2019年9月21日~23日に開催されたビジュアル情報処理研究合宿(以下,本合宿)について報告する.本合宿は,ビジュアル情報処理分野を始めとした視覚的に情報処理に関する研究を行う学生を幅広く対象とした研究合宿であり,本年度で19回目を迎えた.全国の学生有志が企画から当日の運営までを行っており,参加学生への研究に関する活発な議論や交流の場の提供を目的としている.本年度は“New Stage”をテーマとし,ポスターセッションやグループワークなどの企画を行った.本稿では,本合宿の開催概要と当日の状況を報告し,合宿最終日に行った参加者へのアンケート結果を基に来年度の活動に向けた考察を行う.

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