2021 年 50 巻 4 号 p. 604-613
立体画風変換の最も簡易的な実現方法の一つが,ステレオ画像を一枚の静止画と見なして画風変換することである.しかし,画風変換によるデフォルメはステレオ画像の視差情報を劣化させるため,画風変換の改良には変換後の画像を適正に評価する手法が求められる.本論文では,ステレオ画像を対象とした立体画風変換のための視差情報評価画像とそれに基づく数値評価法を提案する.提案する評価画像は,画風変換された画像から三つの領域を特定するものとし,それらは「視差情報を維持した領域」「視差情報を損失した領域」「不正な視差情報を出力した領域」である.また,各領域における数値評価法は,それらの面積を正規化したものを用いる.評価実験においては,評価画像のパラメータについて考察し,また各該当画像の基本的な性質を明らかにする.最後に,立体画風変換に対する有効性について鉛筆画風変換を用いることで確認する.