2022 年 51 巻 1 号 p. 61-65
我が国における膵癌の患者は年々増加している.組織,細胞の顕微鏡観察によって診断を行う病理医は不足しており,ディジタル化と機械学習手法による自動診断システムの開発が進んでいる.しかし通常のRGBイメージを使った機械学習は分類モデル解釈性の低さが指摘されている.本研究ではハイパースペクトルカメラで撮影した膵癌細胞診検体を機械学習における教師あり,教師なし学習で分析しモデルのスペクトル的解釈を行う.結果として教師なし学習ではt-SNEアルゴリズムが優れた可視化パフォーマンスを示し,教師あり学習ではLightGBMアルゴリズムが良悪性分類でAccuracy 93%,悪性度分類でAcuraccy 82%の識別精度を得た.またモデルから主に2つの波長域が診断に重要となることが示唆された.医療現場に導入していくにはさらなる精度と症例数追加による研究が必要だが本研究から,グレーディングと細胞診におけるハイパースペクトルカメラの高い応用可能性が示唆された.