画像電子学会誌
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51 巻, 1 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
随想
年次大会2021論文特集号
論文
  • 岩切 宗利, 森本 大志, 冨沢 哲雄
    2022 年 51 巻 1 号 p. 4-10
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル 認証あり

    近年,自動運転に代表される自律移動ロボットが注目を集め,その実用化が期待されている.移動体周辺に存在する外界情報を収集する測域センサは,自律移動ロボットを安全かつ正確に制御するための最も重要な装置の一つである.自律移動ロボットは,屋外などでの運用中に汚損することが珍しくない.特にセンサ部の汚損はその制御に影響するため,それを自動検出する仕組みが必要である.本研究では,光学測域センサ部に生じた汚損領域をその受光強度値の最大値を用いて検出する基礎的な3次元点群処理手法(Maximum Value Collection)を提案し,それを3次元レーザスキャン装置(光学センサ)に適用した実証実験を行った.本実験の結果,提案方式は,光学センサ表面の汚損とその位置推定に有用であることがわかった.

ショートペーパー
  • 戸塚 真隆, 高野 邦彦, 佐藤 甲癸
    2022 年 51 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル 認証あり

    ホログラフィは,記録したい物体からの光波の振幅と位相を参照光と干渉させて,干渉縞として記録する.そして回折現象を利用して,光波の複素振幅分布を再生する技術である.計算機合成ホログラム(Computer-Generated Hologram : CGH)により干渉縞の実現が容易になった.またホログラフィックメモリでは,多重像分離にレンズ項を用いて,再生像の劣化に画像処理による改善の研究が行われている.本論文はデジタル技術として,CGHの作成,レンズ項による多重像分離,フィルタによるノイズ除去を,シミュレーションにて評価している.またページデータ総数の限界を示し,画像処理による再生像改善を確認する.

  • 符 喬鈞, 神原 裕行, 姜 有宣
    2022 年 51 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル 認証あり

    コンピュータの計算能力の向上とデータスケールの増加に伴い,人工知能は繁栄と発展の新しい時代を迎えた.しかし,アニメーション業界では,人工知能のアプリケーションが非常に少ないため,アニメーションカバーの自動生成やアニメーションのハイライトのインテリジェントな編集などに関する技術開発には未だ大きな余地がある.本論文では,ターゲット検出アルゴリズムに基づくアニメキャラクターのインテリジェント分析アルゴリズムを提案する.この手法は,SSD(Single Shot MultiBox Detector)にいくつかの改良を加えたもので,具体的には,実験の初期段階においてデータ数を増やすこと,特徴表現能力の高い畳み込みニューラルネットワーク構造を選択することからなる.結果として,従来のSSDアルゴリズムより,パフォーマンスが14%向上した.

コーヒーブレイク
論文
  • 武藤 駿嗣, 井尻 敬
    2022 年 51 巻 1 号 p. 28-36
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル 認証あり

    一連の動作を一枚の静止画に集約できる連続写真は,スポーツ動作の可視化に広く利用されている.しかし,一般的に連続写真は紙やモニタにより可視化されるため,動作の大きさを把握しにくいという課題がある.そこで本論文では,大きさを把握しやすいスポーツ可視化法の実現を目的とし,Mixed Reality(MR)技術を利用した連続写真の等身大可視化法を提案する.提案手法は,撮影した一連のスポーツ動作を,連続写真・動画・残像付き動画としてMR空間に等身大の大きさで提示する.これにより,ユーザは連続写真を好みの角度から等身大で観察できるため,動作中の姿勢のみでなく,歩幅やジャンプの高さなど,動作の実際の大きさを把握できる.提案手法の動作の大きさ把握に対する効果を確認するため,本研究では,27インチモニタによる縮小表示,プロジェクタによる等身大表示,MRによる等身大表示を比較するユーザスタディを実施した.その結果,等身大表示(プロジェクタ・提案手法)はモニタで連続写真を表示するよりも動作の大きさを高い確信度で正確に把握できることが示唆された.

  • 千葉 尭, 森谷 友昭, 高橋 時市郎
    2022 年 51 巻 1 号 p. 37-49
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル 認証あり

    不可能立体のように見える絵(不可能図形)を描く方法のひとつとして,特定の視点から見たときに錯視によって不可能立体に見えるような立体,錯視立体を用いる方法がある.3DCGで表現した錯視立体を視点に応じて再モデリングし,不可能図形のアニメーションを実現する手法が既に提案されている.しかしながら,それらの手法は不可能図形の表示に特化していて,一般的な3DCGモデルと共存することは十分に考慮されていなかった.我々は,レンダリング環境に依存しない3DCGモデルとして与えられる錯視立体と,その3DCGモデルを視点に応じて動的に再モデリングするアルゴリズムとから構成される,錯視立体表現モデルを提案する.本モデルは,レンダリング・パイプラインに副作用を与えずに,錯視立体を再モデリングした結果から想起される印象の奥行感と不可能立体の奥行感と一致させることができるため,一般的な3DCGモデルと共存可能である.さらに,不可能図形の影の在り方について考察し,その考察に基づいた付影処理手法を提案する.

  • 内川 亮介, 石塚 裕己, 池田 聖, 大城 理
    2022 年 51 巻 1 号 p. 50-60
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル 認証あり

    ディジタル映像作品において液体を写実的に描くためには,液体に含まれる気泡までを表現できることが望ましい.従来のComputer Graphicsのための流体シミュレーションでは気泡を表現するために,液体粒子と気体粒子を用いていた.一方で,気体粒子を用いる場合には計算量が増大するという問題があった.また,従来の気泡シミュレーションでは高粘性流体を表現可能な陰解法を用いることができなかった.本研究では,低粘性から高粘性流体中の気泡を表現可能なシミュレーション手法を提案する.気体粒子無しに気泡表現を可能にするために,気泡の質量保存を利用する.そのために,気泡密度から求めた圧力を気泡表面の圧力境界条件としてNavier-Stokes方程式に適用する.気泡表面において,表面法線方向の流速の総和が0となるという拘束条件を仮定することで,気泡の体積変化を小さくする.このモデルは,二つの条件によって気泡の質量と体積を保存するため,気体粒子を用いることなく気泡の挙動を再現できる.また,提案するモデルは,Material point method (MPM) 内に組み込み可能である.MPMの有する低粘性流体から高粘性流体までの挙動を高速に計算できる特徴により,水やハチミツといった様々な粘性流体中の気泡表現を可能にできる.

ショートペーパー
  • 野呂瀬 朋子, 神谷 健太郎, 中矢 大輝, 佐鳥 新, 大池 信之
    2022 年 51 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル 認証あり

    我が国における膵癌の患者は年々増加している.組織,細胞の顕微鏡観察によって診断を行う病理医は不足しており,ディジタル化と機械学習手法による自動診断システムの開発が進んでいる.しかし通常のRGBイメージを使った機械学習は分類モデル解釈性の低さが指摘されている.本研究ではハイパースペクトルカメラで撮影した膵癌細胞診検体を機械学習における教師あり,教師なし学習で分析しモデルのスペクトル的解釈を行う.結果として教師なし学習ではt-SNEアルゴリズムが優れた可視化パフォーマンスを示し,教師あり学習ではLightGBMアルゴリズムが良悪性分類でAccuracy 93%,悪性度分類でAcuraccy 82%の識別精度を得た.またモデルから主に2つの波長域が診断に重要となることが示唆された.医療現場に導入していくにはさらなる精度と症例数追加による研究が必要だが本研究から,グレーディングと細胞診におけるハイパースペクトルカメラの高い応用可能性が示唆された.

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