International Journal of Myeloma
Online ISSN : 2187-3143
総説
脆弱な高齢骨髄腫患者に最適な治療を提供するために考慮すべきこと
半田 寛
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 3 巻 1 号 p. 26-34

詳細
抄録

近年,新規薬剤を含む治療法の改善により,多発性骨髄腫患者の生存期間は年単位で延長してきているが,高齢者の予後は充分に延長したとは言えない。本稿では高齢骨髄腫に最適な治療を提供するために考慮すべき点について考察する。年間新たに発症する骨髄腫患者の26%が65歳から74歳,37%は75歳以上であり,高齢者の疾患であることは明らかである。高齢者は若年者に比べると多様であり,暦年齢と生物学的年齢との間にギャップが存在する。European Myeloma Networkではcomorbidity, disability, frailityなどを総合したvulnerabilityに基づき治療薬や使用量を選択することを提案している。高齢者でもCRに到達により全生存期間の延長が見られ,新規薬剤を組み込んだ治療により全生存期間は延長する。しかし高齢者では臓器機能が低下しているので治療薬を適切に減量する必要がある。骨髄腫患者の治療前QOLスコアは低く,化学療法によってQOLが改善することも判明しているが,新規薬剤の種類によってはQOLスコアが一時的に悪化することも認められているので注意が必要である。

著者関連情報
© 日本骨髄腫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top